高尾山麓から通訳ガイドの自己紹介

私は、2020年に日本遺産に認定された「霊気満山 高尾山」の山麓に居を構えてから30余年になります。

途中、転職で海外で働いたり、勤務先に近い場所に転居したりした関係で、その内15年余り留守にしましたが、息子の中学進学を機会に、2003年以降再び高尾山の麓に戻ってきました。

今年から、WHOの定義上も高齢者に分類されるようになり、恐らく、高尾山の麓の現在の住居が終の住処になるのだろうと思っています。

定年前に約23年間勤めた日本の会社では、仕事柄、海外の取引先の人達を京都や鎌倉に案内する機会が何度もあり、京都でお世話になった一人の通訳ガイド(全国通訳案内士)さんの仕事振りを拝見するうちに、「民間外交官」とも言われる通訳ガイドが、単なる通訳ではなく、“自分の言葉”で、日本の国際親善に貢献する姿に魅力を感じました。

また、それと同時に、日本人でありながら、「外国人から質問される様々な日本の歴史・文化について日本語でも説明できない自分の無知」に気がついて大いに恥じた記憶もあります。

そういうことがきっかけとなって、十数年前から、自己啓発も兼ねて「仕事を引退したら通訳ガイドのボランティアをしてみようか」と漠然と考えるようになりました。

定年退職後の自分の趣味として通訳ガイドの活動をイメージした場合、当時、既に日本での開催が決まっていた2019年のラグビー・ワールド・カップが、ちょうど良い目標になるのではないかとも考えました。

そして、文字通り「五十の手習」で、前年の一次試験免除用の英検1級合格を経て、2011年3月の東日本大震災の直前に全国通訳案内士の国家資格を取得しました。

通訳ガイドの資格をとってから最初の“お客さん”は、取引先であったドイツの航空会社のファイナンス・チーム御一行でした。2012年の梅雨明け直後の暑い「海の日」に、鎌倉で接待を兼ねた観光案内をし、首尾良く次の航空機リース商談の実現に漕ぎ着けました。

その後も、4年前に退任して帰国した先代の駐日アイルランド大使が、偶然にも、「私が30代で転職によりアイルランドの航空機リース会社に勤務していた時の元上司の妹君だった」という不思議な御縁もあり、2014年から4年弱の彼女の任期の間に、大使夫妻やその兄弟姉妹、御学友御一行などを鎌倉にご案内するなど、あくまでもボランティア・ベースながら少しづつ通訳ガイドとしての経験を重ねる機会がありました。

高尾山麓に居を構えているという事情もあり、「高尾山への愛」にも目覚めて、2016年の6月から高尾山の通訳ガイドのボランティア・クラブに入会し、最初の1年間はメンバーの中でも最も熱心に活動したと自負しています。

薬王院表参道の浄心門にある「霊気満山」の扁額(高尾山)

しかしながら、2017年10月に再就職した後は、当該ボランティア・クラブも実質的に休会中であり、通訳ガイド活動の機会はめっきり減ってしまいました。

更には、コロナ禍で、高尾山を訪れる訪日外国人もほとんどいなくなってしまいました。

現在は、アイルランド時代の同僚の紹介で再就職した外資系投資銀行に勤務していますが、平均年齢が若い勤務先の航空機ファイナンス部門では、“超”のつく最長老であり、新型コロナウィルス肺炎の世界的大流行、ロシアによるウクライナ侵攻等、航空業界にも未曾有の逆風が吹き荒れる中で、早晩、“老兵は去り行く”ことになりそうです。

当面は、リハビリを兼ねて、高尾山やそれに関連する情報発信を開始して、コロナ禍が終息して高尾山を訪れる外国人観光客が戻ってきたら、以前のように高尾山をベースにした通訳ガイドのボランティア活動を徐々に再開してゆこうと思っています。

そういった活動を通じて、自身のボケ防止に努めると共に、併せて日本の介護保険費用の削減にも貢献したいと念願しています。

これまでの経験、読書、或いは先達の話を聞きかじったことを基にした与太話に過ぎませんが、ご笑覧頂ければ幸いです。

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(12)件のコメント

  1. 原 弘

    拝読できました。
    貴兄は努力家で素晴らしい経歴の持ち主ですね!ハハハ
    読んだ証拠の試しにコメントを書いてみました。

  2. Speedbird

    先輩が去ってしまったら一体何を心の支えにしたら良いか。

  3. 久保田康隆

    今まで知らなかった神原君の仕事振りやボランティアの状況が良く分かりました。航空機リースの世界では最長老ということですが、職人の世界では90代になってもまだ現役で働いている人がいます。コロナは早晩終了し、ロシアのクリミア侵攻もそれほど長くは続かないでしょう。元気でいるうちは70代80代になってもやり続けてください。神原君の能力が埋もれてしまうのはとても勿体ないことです。
                 

    1. shirok57blog

      レンタル・サーバーを3年間借りましたので、少なくともその間は投稿を続けたいと思います。宜しく、御笑覧ください。

      1. 佐々木

        本日は、はるばる斑鳩の里 法隆寺までお越し頂きありがとうございました。拙い新米ガイドでしたが、楽しんでいただけましたでしょうか。この後の大和の旅も楽しんでくださいね。

        1. shirok57blog

          佐々木俊介様/晴美様
          本日は、懇切丁寧なるガイディングありがとうございます。夢殿を飛ばしてしまいましたが、夕暮れの東大寺の転害門の撮影には間に合いました。明日は、唐招提寺、薬師寺、東大寺エリア、新薬師寺等、明後日は興福寺界隈を観光して、午後に京都に移動する予定です。次回は、もう少し時間をかけて、より広範囲に古都奈良を満喫致したいと祈念しています。

  4. 長谷川

    ご無沙汰しています。
    数年前になりますが、あのときの高尾観光はとても楽しかったです。
    いつか同じメンバーで行きたいです!

    1. shirok57blog

      長谷川さん、いいですね!「(アイスクリームと猿園)が、この上もなく楽しかった」とコメントしてくれた紗季ちゃんの病気は治ったんでしょうか?

  5. 小川幹雄

    紹介されていた高尾の文字を見て、遥か昔学生時代アルバイトで、裏高尾周辺の酪農家が飼育していた牛の乳を集乳するトラックで走り回り「峰尾」姓が多かった事関所跡があった事、奥の方に昔ながらの手作り豆腐の店があったことなどが思い出されました。

    1. shirok57blog

      今でも、裏高尾の摺差(するさし)に峰尾豆腐店という豆腐屋さんがあります。この間、小仏にハイキングに行ったという近所の方におからドーナッツを頂戴して美味しく頂きました。

  6. 原 馨

    貴君のアイルランド勤務時代、貴君の上司の妹君が駐日アイルランド大使だったとのこと。コロナ禍が始まる前になるけど4,5年前に五島列島の教会巡りをしました。その時誰も行かないような小さな入り江のこれまた小さな教会、半泊教会を訪ねたところ、教会を守っている本当に善意の塊のような教会守りのばあさんが「先日アイルランド大使が来てくださいました。」と嬉しそうにかつ誇らしげに話してくれたのがその大使だったのですね。

    1. shirok57blog

      2018年3月に大使交代のパーティーがありましたので、それ以前であれば、Anne Barrington閣下ということで間違いないでしょう。五島列島は、アイルランドのアラン諸島と同じようなところですかね?両方とも行ったことないけど・・・

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